日本の猟師の話『ぼくは猟師になった』

この夏、京都でも『タイガからのメッセージ』上映会がありました。その際、出会った人々の中に千松信也氏がいます。今回は彼の著書、『ぼくは猟師になった』の話を少ししたいと思います。

『タイガからのメッセージ 』をすでにご覧になった方々には、すぐ分ってもらえると思いますが、『猟師』というのは、僕の最近のキーワードの一つで。森との共生、大きくは自然との共生で、最終的に必要になってくるのは、自ら獲物を獲る&採る力。それは、狩りであり、漁労であり、採集すること。現代社会に生きている人間にとって、とても遠い世界のように感じる「狩猟採集」という言葉。僕にとっても、タイガに通い始める前は馴染みの薄い言葉でした。でも、タイガに入り、クラスニヤール村の人々と一緒に生活をする中で、獣を狩ることや、川でその日の食事のために魚を獲ることや、森に生えている植物を採集することが、「日常生活の一部」である、ということが思いっきりリアルになったのです。そして、「命をいただく」という行為が、毎日の自分の「生」にこんなにも入り込んでいたという事実を再確認させられました。でも、まだ日本での狩猟ということになると、あまり実感が湧かないのが現実でした。

ところが最近、日本の若手の猟師たちに遭遇する機会が増え(若手って、伝統芸能系の世界で言われる50代ー60代じゃなくて。本当に30代ー40代の同世代たち!)色々日本の今の狩猟事情を直接聞くことが出来るようになってきたのです。その中でも、今年40歳になる千松信也くんは、もう猟師を始めて12年目。ベテランです。この本の中でも、山での猟の様子やそれにまつわる感情などが、とても生き生きと描写されていて、読んでいて「うわ、こいつはタイガに行っても、向こうの猟師と一緒にすぐやっていけるだろうな〜」と思わず唸らされる場面も多々ありました。しかも、東京のど真ん中の電車の中などで、京都の山中でのシカやイノシシの解体の話などが目に浮かぶほどにリアルに描かれているのを読むのは何だか不思議でしたが、「生きるとは」ということのコアな部分を良い意味で思い出させてくれる、力強い話です。是非、今だからこそ、多くの人に読んでもらいたい一冊です。ちなみに、これ読むと、猟師免許を取得したくなりますよ!by 三上雄己