Before We Pass Away… 『私たちが消えていく前に』

Jimmy Nelsonのプロジェクト、‘Before They Pass Away’ .

カッコいいすばらしいプロジェクト。ウェブサイト上に展開されている写真や映像にも関わらず、そのスケール感はコンピュータースクリーンの枠を軽々超えて見るものを圧倒する。

ただ、これを見ている僕らがどう捉えるかは、ものすごく大事なんじゃないかと思う。

このタイトル ‘Before they pass away’ (邦題:『彼らが消えていく前に』)というのを額面通り受け取ると、まるで、‘彼ら’が、‘私たち’と切り離された、何か ‘すごい’ けど ‘遠い’ 存在のように見てしまうこともあるかもしれない。憧れたり、もしくはちょっとした郷愁のような想いで見てしまうかもしれない。

でも、そうではないんだ。ここに出てくる少数先住民族と呼ばれている人々は、確実に僕らみたいな、今この地球に生きている人々全員の一部でもあるんだよ。この一見ワイルドで僕らの生活や考え方とは、とてつもなくかけ離れているように見える(特に写真や映像のプレゼンテーションがそうさせるし、その方が売れるって世の中だから)人々や風景は、確実にわれわれ一人一人の中にも息づいている。僕らは彼らの一部だし、彼らは僕らの一部なんだ。

でも、現代社会を機能させるために、この増々複雑化していく都市中心型の人間界を生き抜くために、僕らは、ここに出てくる民族の持っているような、‘大地’や‘空’や‘宇宙’などとの繋がりを押し殺して生きている。だから、この写真や映像を見て、ドキドキしたりワクワクしたり、何か自分の中に得体の知れない感情がわき上がってきたりしたとしたら、それは僕らの中に眠っていた、古代から続く、いやそれよりももっと昔の地球から生命が生まれた頃の記憶に近いものが呼び覚まされているのかもしれない。

『彼らが消えていく前に』というタイトルを見た瞬間、僕は、これは『私たちが消えていく前に』と思った。今、僕らはそういう時代に立ち会って、多分、大きな節目を迎えている。

僕らは、ちょうど地球の寿命の半分ぐらいの時点で(これは偶然なのか?それとも宿命なのか?)、今まで地球上に生まれきた全生命体全部を巻き込み、地球規模の生活を営んでいる人類。でも、あくまでも地球が生み出した、地球生命体なんだよ。地球の子供達なんだよ。それを忘れないために、その気持ちを呼び覚まさせるために、この先住民族と呼ばれる人々は、時を超えて存在してくれているような気がする。だから、彼らが消えることは、僕らが消えること。僕らの大事な部分、この地球で生きていくのに欠かせない何か、母なる何かとの繋がり、宇宙との繋がり、それが抹消されるということなんだと思う。

今、多くの人々が色々な形で、緊急事態を訴えている。サインはそこら中に出ている。それを見て、認識して、どの道を旅していくのか?それによって、「僕らが消えていく」のか、もしくはもっと続くのか?

今、僕ら全員が、選択を迫られている。

by 三上雄己