『土用の丑の日』に考える とうとう絶滅危惧種に指定されたニホンウナギのこと

今年2014年6月12日、IUCN(国際自然保護連合)がニホンウナギをレッドリストで絶滅危惧種指定した。ウナギが絶滅危惧種となるっていうのはどういうこと?と思う人も多いかもしれない。だって日本食の中でも代表的なウナギの蒲焼きが食べられなくなるかも、なんて考えたこともなかっただろうし。でも、ウナギという、一見非常に馴染みのある魚のことを、実は僕ら日本人のほとんどがよく知らないで食べていたらしい。その証拠に、ヨーロッパウナギは2007年にはワシントン条約に記載、2008 年にIUCNで絶滅危惧種指定されてたって知ってた?また、ウナギは養殖とか天然とか言われているけど、基本的に全部天然だっていうことや、中国産や台湾産といって売られているものも、日本産といわれてるものも、実は全部ニホンウナギの稚魚が捕らえられて、養殖されてるってこととか。僕らabovoは今回初めてGreenpeace Japanとコラボレーションして、ウナギについてのショートフィルムを制作した。それでウナギについて色々学ばさせてもらったんだけど、ウナギについてあまりに知らない自分に驚いた。そして、知らないうちに自分たち日本人が、どれだけ世界中からウナギをかき集めて食していたかに、もっと驚いた。そりゃ、いなくなっちゃうよな〜、そんなことしてたら・・・
現在、色々なもの関して言われている、資源管理や持続可能性っていうこと。これは海の生物にも言えること。最近は海洋資源っていう言い方をされてるけど、本当に海産物も有限な資源なんだよね。もう、獲れるだけ獲って、それを食べて、っていう時代ではないんだよ。ちゃんと限りある資源として、捕獲量を管理し、未来にも漁が続けていけるように考えていかないといけないんだよね。

という訳で、 ウナギのエキスパートの東大青山教授の話を聞きながら、皆にウナギについて分かりやすく知ってもらうためにGreenpaece Japan と作ったショートフィルム『ウナギが絶滅危惧種?知ってるようで知らなかったウナギの話 -Eel Deal-』是非見てみてね!(by 三上雄己)

 

『タイガからのメッセージ』6月上映会のお知らせと、クラスニヤール村・タイガ・ビキン川流域の現状

『タイガからのメッセージ』上映会、6月27日(金曜日)に東京は飯田橋、神楽サロンにて開催します。先月は直前に上映会をキャンセルせざるを得なく、皆さんにはご迷惑をおかけしました。この場を借りてお詫びを申し上げます。

タイガフォーラムの活動をFBでフォローしてくださっている方々はご存知かもしれませんが、現在、この映画の舞台になった極東ロシアのタイガにある「クラスニヤール村」周辺ビキン川上中流域の森約1万2,000平方kmが、去年の暮れにロシア連邦「国立公園ビキン」に指定される方向に政府と行政が舵を切ったことにより、村の人々が揺れています。

そして、この件に関しての現地での情報錯綜もあり、その余波で、少なからずわれわれタイガフォーラムも影響を受けています。

以下、現地からの最新情報などを含めた、現状報告をさせていただきます。少し長くなってしまいますが、時間ある方には是非読んでいただきたいです。そして、続きは上映会後のトークセッションで直接話題にしたいと思います。

5月の終わりから、タイガフォーラムのメンバーの野口栄一郎が、北海道新聞などの現地取材にコーディネーターとして同行し、クラスニヤール村を訪れています。取材終了後の現在も、現地に残り情報収集などの活動をしています。どのような展開なるのか、われわれタイガフォーラムも日本から見守りつつ、連絡を取り合っています。

この国立公園設立の決議などにおいて、現状、見えてきているのは、この森と共に暮らしてきた張本人たちであるデへを初めとする先住民族の不在です。どうも、中央政府はじめ地方政府、それらを取り巻くステークホルダーたちの思惑が先立って、森に住んでいる村人たちの意見があまりにも反映されていないようなのです。

僕としては、ウデへのいないタイガは考えられないし、またタイガのないウデへも考えられません。なぜなら、ここのタイガの素晴らしさ、貴重さ、美しさの根本は、様々な困難がありながらもウデへたち先住民族が、現在に至るまでこの森と共に暮らす生活を死守してきたところにあるからです。

今は一部となってしまいましたが(それでも、東京・神奈川・千葉・埼玉を合わせた面積)原生林という今ではもう地球上にほとんど残っていない状態の森があり、そこにはトラやヒグマという大型の肉食獣を頂点とした、様々な野生動物の営みも未だに存在しています。

そして、これらの自然が残っている大きな理由の一つが、本当の意味で森と生きてきたウデへたちの存在であると思うのです。

人類は、色々な形の進化を遂げてきたかもしれませんが、一方で、色々な部分を退化もさせてきたと思います。その一つが大いなる自然(地球)との断絶です。それによって、恐らく持っていただろう力を手放してきたような気がするのです。しかし、ウデへのような先住民族に出会うと、その失った力の記憶のようなものが自分の中で蘇ってくる感覚におそわれる瞬間で出会います。それが、彼らのような人々の存在の貴重さであり、素晴らしさなのではないかと思っています。また、ここの先住民族たちは、伝統と現代文明というものを両方持ち合わせて生きるということにも挑戦してもいるので、ただの博物館的なショーケースに入った「伝統文化」ではないところも魅力の一つです。だからこそ、僕らが学べる事も多いのです。このことは、『タイガからのメッセージ』の根底に流れているテーマでもあります。

ただ、そんな彼らの暮らしがもしかすると壊されてしまう可能性もはらんでいる今の状態は、非常に危うい部分を持っていると感じています・・・

今回の上映会では、こんな気持ちをシェアしながら皆さんと映画を観て、話をしたいと思っています。

どうぞ、もう見た方も、まだ見ていない方も、お誘い合わせの上、是非この機会に上映会を通して、タイガやそこに住む人々に触れてみてください!会場で、映画制作チーム(abovo & taiga forum)一同、皆さんにお会い出来ることを楽しみにおります!  

by  三上雄己

シンポジウム『自然資本経営を考える〜自然を消耗する時代から、経営する時代へ』

みなさんは、「自然資本」(=natural capital)という言葉を聞いたことはありますか?従来、われわれ人間は、「自然資源」(=natural resource)の恩恵を受けて、ここまで文明を進化させました。ところが、その実態は、「資源」という名の下に、多くはその代償を顧みず「搾取」に近い形で自然を勝手気ままに利用するだけ利用してきました。この状況に一石を投じたのが、1999年に出版された’Natural Capitalism: Creating the Next Industrial Revolution’ でした。(日本での訳本がでたのは2001年『自然資本の経済 -「成長の限界」を突破する新産業革命』)この中で著者のポール・ホーケンやエイモリー・ロビンスは、従来の経済主義の見直しと、地球環境と人間社会の関係性の理解と認知こそが、未来への持続性を高めるとの見解を表明します。この考え方は、勝手取り放題な「自然資源」ではなく、取ったままにしないで生態系の在り方と存続を大きく考慮した上で使っていこう、共生していこうとする、「自然資本」という言葉に集約されていきます。しかし、勿論新しい呼び名が出来たから全てが解決する訳ではないですし、今後もより一層、この言葉と共に人間の生き方そのものが、現状から変わっていかなければならないというのが、この本や言葉に元々込められた想いです。
さて、この本が出版されてから、15年目を迎える今年の4月に京都大学で、あるシンポジウムが開催されました。その名も『自然資本経営を考える〜自然を消耗する時代から経営する時代へ〜』。僕らabovoは、このシンポジウムのウェブサイトや記録映像を担当しました。非常に興味深い講演者の方たちのお話が、youtubeでご覧になれます。どうぞ、未来の世界をそれぞれが思い描きながら、「自然資本」について考えてみてください。もしかしかたら、何かのヒントが見つかるかもしれません。  by  三上雄己
http://l-e-d.info/

シンポジウム記録映像はこちらから:
http://www.youtube.com/user/kyotosymposium

シンポジウムイントロダクション映像:

Exhibition ‘Taiga Taiga Taiga’ @ さえずり館 丸の内

タイガのことを少し体験出来る?
abovoによるインスタレーション作品です。7/1~8/29の期間中、タイガにいる動物や植物たちの写真や映像が展示され、そして世界最大のトラ亜種、アムールトラの原寸大オブジェにも出会えます!日本から直ぐ近くに位置する、極東ロシアのジャングル、「タイガ」を体験しませんか?

場所は、東京都千代田区有楽町1-12-1 新有楽町ビル1Fにある、自然環境情報ひろば『さえずり館』です。
詳しくはこちらから。 

みなさんのお越しをお待ちしております!
by youki mikami

東北の人と森を訪ねて

僕らabovoは、11月中旬、東北三県を駆け足で回り、木工職人など、森と共に暮らす人々を訪ね、撮影取材を行ってきました。

2009年にリリースされた、僕らのドキュメンタリー『木の来た道』を見てくれた方々はご存知と思いますが、もともと極東ロシアのタイガに向かったのも、現在の地球上に存在する森林に興味を持っていたからでした。

僕らの関わっているプロジェクトの一つ、Fairwood Partnersは、国産の木材を使用・利用することを提唱してきています。詳しくは、上記の『木の来た道』を見ていただきたいのですが、手短かに説明すると以下のような感じです。

日本は戦後、焼け野原からの復興などで、建築ブームに湧きました。とにかく、日本中ボロボロになってしまったのですから、家や施設や全てを一から建てなければなりませんでした。そのため、復興初期は日本中の山から木材が集められました。しかし、それでは到底足りません。植林をしながら、使っていきますが、需要が明らかに供給を上回る状態に陥りました。そして、海外から木材がどんどん輸入されることになります。そして、日本が様々な要因(もちろん、朝鮮戦争とベトナム戦争で、稼がせてもらいました)で戦後復興を遂げる中、日本は世界でも有数の木材輸入国になっていくのです。東南アジアやブラジルの原生林は、ただ伐るだけで、素晴らしい木を提供してくれました。しかも、人件費が日本よりも圧倒的に安いので、木もそれだけ安くなります。その状況を逆手に取ったビジネスです。ところが、ある時から、その南方からくる木材が問題になっていきます。さすがに、これではまずいという判断を国際社会がしていくのです。しかし、一度安くて良い、外国材を知ってしまった日本企業はなかなかやめられません。そこで、バッシングされやすい、南洋材(主に南の国からやってくる)から、北洋材(寒い地域の木)に輸入をシフトしていったのです。
その間、日本では、先に植林した杉やヒノキがどんどん育ち、90年代中盤には、使える木となっていきました。しかし、輸入される木材で出来上がった流通システムや仕事の仕方は、なかなか簡単に変えることは出来ません。国内には手を入れるべき森が沢山放置されています。そして未だに、日本の木材自給率は使用する量に対して、3割に満たない状態なのです。

今、環境問題を考えた時に、様々な切り口で問題は吹き出していますが、森林というものを見つめ直し、そこにある問題を提議し、みんなで捉えて解決していくことが、一つの道かもしれないと思っています。
そして今回は、東北地方の三県の木工職人や森と共に暮らしている人々を紹介するプロジェクトを始めました。短い映像ですが、それぞれの想いを伝えたいと思って制作しました。

ご覧いただければ幸いです。

三上雄己

『東北の木と暮らそう』Fairwood ‘Tohoku movie’ by Fairwood Partners from abovo on Vimeo.

『タイガからのメッセージ』の里帰り上映会@クラスニヤール村!

村の空

クラスニヤール村から、ハバロフスクに帰ってきました。タイ

ガから帰ってくる時はいつもそうなのですが、全く繋がらなかったネットと携帯電話が一週間振りに使えるのは不思議な感じです。また、一年前とはハバロフスクやウラジオストクのネット環境が格段に良くなっているので、さらにその気持ちに追い打ちをかけます。電磁波よ、再び!と言った感じでしょうか。

 

 

 

さて、クラスニヤール村に一年振りに戻っての映画の上映会や村の人達との交流ですが、結果は本当に感動するほどの大成功でした!

村役場の掲示板に貼られた上映会の告知

映画「タイガからのメッセージ」はクラスニヤールの人々皆に

受け入れられました。村の学校で2日間に渡って2回の上映会をしたのですが、毎回拍手で映画を賞讃してくれ、みんな口々に「素晴らしい映画だった!」「自分たちの本当の姿を伝えてくれて、ありがとう!」や「タイガのこんな美しいところをみたことがなかった」など、それぞれが映画に対しての感想を言ってくれました。

上映会の様子。老若男女が映画を楽しんでくれた!

 

特に嬉しかったのは、かなりの人が、「パート2が早く見たい!いつ作ってくれるんだ?」「世界中でこれを見せてくれ!」と言ってくれたことです。この言葉がどんなに僕を救ってくれたことか!!!

 

 

実は日本で関係者の中から、公開前に映画の内容に関して「制作者の視点と主観性」に疑問を投げかけられていた部分があったので、映画の舞台となったこの村における上映会は、僕にとってある意味「賭け」であるところがありました。この映画はタイガやウデへのことを描写した映画ではなくなったしまった、という意見まで出ていたのです。

この映画を仕上げていくにあたって、僕と木村輝一郎の制作者サイドは、今までのいわゆる‘ドキュメンタリー映画’という枠を越えた、新しい、未来へ向けた新しい表現を試すことを決心していました。もともと、この映画には、予定調和や決まったエンディングの設定というものは全くありませんでした。有機的なグルーヴをあくまで大切にした作品を目指していました。それが、この時代そしてこの空気感に必要だと感じたからです。そのため、撮影期間中に起きた2011年3月11日の体験は、当然のことながら我々に大きく影響を与えました。

タイガやクラスニヤールやウデへに対する、僕らの真剣な気持ちと眼差しを映像に反映させるためには、自分たち自身にも真摯に向き合う必要性があったのです。

お家にお邪魔しての意見交換

自らの問題や未来への難題を棚に上げて、‘タイガの自然’や‘先住民族の生活’というようなものを、どこかに存在する‘悠久なもの’というところに落とし込むことは決して出来ませんでした。何故なら、10万年後にも影響を及ぼす、人間の一生に比べれば遥かに‘半永久なもの’であるプルトニウムやウランといったものを、我々人間は作り上げ、しまいにはそれを地球上にバラまき、その処理さえ出来ないという状況を生み出してしまったからです。

 

そんな僕らの気持ちをクラスニヤールの仲間は理解してくれました。

この映画を見たウデへを始めとするクラスニヤールの人々は、今、日本の私たちに逆に問いを投げかけています。
「福島以降、日本は原発をどうするのか?どのように歩んでいこうとしているのか?どんな未来を作ろうとしているのか?」「私たちは、こうやって生きている。ではあなたたちは?」

穴の空いた石を家の玄関先にお護りとしてぶら下げる、ウデへの伝統

「タイガからのメッセージ」の中にも登場している、学校の校長先生は、「日本は地震があんなにも多い国なのだから、原発は無い方がいいんじゃない?」と上映会後に僕らに語りかけました。

この映画が、日本に住む僕らと極東ロシアに住む彼らの間で、何かしらのインターアクションのきっかけになるものになるかもしれない、そう思えました。

クラスニヤールの人々と本当の意味で一緒に「タイガからのメッセージ」を世界に発信していけるのだということを、改めて確認できた旅でした。

 

映画『タイガからのメッセージ』東京上映会 最新情報!

「今日のことばかりでなく未来のことを考えなければ。10年15年じゃなく100年先を見なければならない。そうすればビキン川もタイガも守れる」と静かに語るウデヘの猟師、ヤコフさん。命あふれる森タイガで、ヤコフさんをはじめとする先住民族ウデヘの暮らしを2010年の初夏から2011年の夏までおいかけたドキュメンタリー「タイガからのメッセージ」の東京上映会最新情報です。ご来場をお待ちしております!

ドキュメンタリー映画「タイガからのメッセージ」 いよいよ東京で公開!
3/28(水)15:00-17:30
4/20(金)19:00-21:00

極東ロシアに広がる針葉樹と広葉樹の森。その森のことをロシアでは‘タイガ’と呼びます。日本から約2時間でハバロフスクやウラジオストクに飛び、そこから5時間ほど(悪路を思い切り飛ばして!)車で行けば、すでにタイガの原生林の中です。
日本のすぐ近くにあるこの森には、絶滅危惧種のアムールトラやシマフクロウをはじめ、ヒグマやツキノワグマ、大きなイノシシやアカシカが生息しています。そして、その多種多様な生物や植物と長い間共生してきた先住民族ウデへが暮らしています。命あふれる森とそこに暮らす人々の生活を、2010年の初夏から2011年の夏までおいかけたドキュメンタリー「タイガからのメッセージ」。
『タイガからのメッセージ』日本語版予告篇

「この映画を通じて、タイガの声、さらには地球の声が皆さんに届くよう願ってやみません」と映画制作にかける思いを語る、監督の三上雄己をはじめ制作者も当日、ごあいさつをさせていただきます。皆さまと一緒に映画の公開を迎えられること楽しみにしております。ぜひお越しください。

【上映会日程】

◆日時◆
2012年3月13日(火)19:00-21:00(18:30開場)満員御礼:終了 ありがとうございました!
2012年3月28日(水)15:00-17:30(14:30開場)満員御礼:終了 ありがとうございました!
2012年4月20日(金)19:00-21:00(18:30開場)
※今後の日程は随時ウェブにて発表します。

◆入場料◆2,000円(事前予約&前払い制)
※お申込みいただいた方にメールにて支払先等は詳細をご案内します

◆定員◆35名(先着順)

◆場所◆神楽サロン 2階
アクセス:有楽町線・南北線「市ヶ谷駅」出口5より徒歩5分またはJR「飯田橋」西口、東西線・有楽町線・南北線「飯田橋駅」出口B2aより徒歩8分
住所:〒162-0843 東京都新宿区市谷田町3-13 神楽ビル
TEL:03-6265-0580 / FAX:03-6265-0581

◆お申込み・お問い合わせ◆
Eメールにて(1)参加日(2)お名前(よみがな)(3)Eメールアドレス(4)電話番号を添えて、表題を【「タイガからのメッセージ上映会」の件】として以下までお申し込みください。
神楽サロン(担当:戸谷、瀧澤)
Eメールアドレス:info@kagurasalon.com
TEL:03-6265-0580/FAX:03-6265-0581

映画『タイガからのメッセージ』札幌で特別先行レイトショー決定!4月3日の夜はタイガの森へ!

ドキュメンタリー映画『タイガからのメッセージ』
特別先行上映会@シアターキノ

【特別先行レイトショー上映会】

◆日時◆ 2012年4月3日(火)20:45開場 (21:00 – 23:00)
【映画上映&監督・三上雄己&音楽制作・OKI トークライブ】

◆入場料◆2,000円
◆定員◆ 70席(先着順)
 3月24日(土)より「シアターキノ窓口で入場整理番号付き前売り券発売開始!」
(当日券もございますが、上映当日は整理番号順のご入場となり、会場内は自由席となっております。)
【お問い合わせ】
シアターキノ
札幌市中央区狸小路6丁目南3条グランドビル2F
TEL/011-231-9355   FAX/011-231-9356

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極東ロシアに広がる針葉樹と広葉樹の森。その森のことをロシアでは‘タイガ’と呼びます。日本から約2時間でハバロフスクやウラジオストクに飛び、そこから5時間ほど(悪路を思い切り飛ばして!)車で行けば、すでにタイガの原生林の中です。

日本のすぐ近くにあるこの森には、絶滅危惧種のアムールトラやシマフクロウをはじめ、ヒグマやツキノワグマ、大きなイノシシやアカシカが生息しています。そして、その多種多様な生物や植物と長い間共生してきた先住民族ウデへが暮らしています。命あふれる森とそこに暮らす人々の生活を、2010年の初夏から2011年の夏までおいかけたドキュメンタリー「タイガからのメッセージ」。

その植生や環境が北海道と似ていることや、アムール川からオホーツク海に流れ込む栄養分がタイガで養われていることから、制作側は当初から北海道と極東ロシアの繋がりを強く意識してきました。だからこそ、北海道では特に多くの方々に作品を見てもらいたく、他の地に先駆けて北海道での上映を先行させて考えてきました。

監督の三上雄己と音楽制作のOKIも当日、ごあいさつをさせていただきます。

会場で皆さまにお会い出来ることを楽しみにしております。ぜひお越しください。

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『タイガからのメッセージ』:映画詳細
【長さ】80分
【音声】日本語、英語、ロシア語(英語版/ロシア語版は2012年4月完成予定)
【監督・脚本】三上雄己(abovo/ taigaforum)
【共同監督・撮影】木村輝一郎(abovo/ taigaforum)
【音楽】加納沖(OKI/ OKI DUB AINU)
【コンセプト】タイガの森フォーラム
【製作】タイガからのメッセージ製作実行委員会
【関連ウェブサイト】http://taigaforum.jp
【関連映画上映館】http://kagurasalon.com/cinema.html

映画「タイガからのメッセージ」撮影裏話④2011年6月編

翌朝も天気はどんよりしていて一面に灰色の寒空が広がっていました。前日の川旅でかなり体力を消耗してはいたものの、その後、夜にお気に入りの「バーニャ」(*1)に入っていた僕らはちょっと元気を取り戻していました。だから、セルゲイが朝いきなり「今日中に全部回収するぞ〜!」と冗談とも本気ともつかない発言をしても、昨日よりは気持ちも体も前向きになっていました。

でも、朝食を早めに済ませて、森に入る準備をするころには、やはり一同ちょっと慎重な気持ちになっていました。とにかく寒さが予想以上だったのです。前日の川移動中の寒い空気にやられていた僕らにとって、とにかく用心するにこしたことはありません。基本、去年の6月のイメージを持って完全な夏支度で乗り込んで来た僕らは、ありったけの服を重ね着するしかなく、あとは猟師たちの厚手の秋冬使用のジャケットを借りて準備を進めました。やっかいだったのは、単に寒いだけではなく、それでも蚊やアブやブヨは秋冬に比べればいる訳で、その対策も考えなければなりません。また、少ないと言え、非常に危険な脳炎ダニ(*2)がまだ活動中ということで、準備としては、今までの中でも一番色々な想定が必要だったかもしれません。一応、考えられることは全部考えて(というつもりで)船に乗り込みました。

前日と同じく、水かさの異様に多いビキン川を移動です。セルゲイが早めに動きたがっている理由の一つは、もしここでさらに大雨でも降ると、ただでさえ水かさが増して移動が困難になっているビキン川の移動がさらに難しくなるということだったと思います。実際、普段楽に通れるところが通れなくなっていて、何度か迂回したりしました。

また、この日のカメラの回収場所の一つは、完全に以前の地形と違ったものになっていました。簡単に言うと、カメラの設置場所は谷のようになっている地形を越えて向こう側の丘にあったのですが、今回その谷が完全に水没し川になっていたのです。腰ぐらいまで浸かってしまうぐらいの深さなので、僕らの装備では普通には渡れません。深いところでも川釣りが出来るウェットスーツ仕様で来ていたセルゲイに、僕らの中で最も小柄な野口栄一郎がおぶってもらい、向こう岸の3台のカメラを回収しました。

自然の力で森や山の地形が簡単に変わってしまうということや、そこで自由に行動することがいかに困難かということを思い知った体験でした。また、そんな状況下でも、森の素人の僕らをしっかり案内し、目的をやり遂げるセルゲイ・カルーギンには改めて感心させられました。彼は僕と同い年ということもあり、親近感もひとしおなのですが、今回は「こいつ、やっぱり凄いな」とさらに思わされました。

絶対に虎の通るであろう道に何台か仕掛けていたカメラの辺りには、新鮮なトラの足跡や休んだ後があり、みんなの期待が膨らみました。セルゲイもこれにはちょっと安心した様子で、「これはもしかすると、ホントに凄いショットが撮れてるかも!?」と僕も内心期待で一杯でした。

こうして残りの7台のカメラを一日で全部無事回収し(実はあまりの森の変容に、一時はカメラ全部回収には相当な時間を覚悟しました)、「あとは映像のチェックだ!」とはやる気持ちを抑えながら、ハバゴーの基地への帰途に着きました。

基地に着くなり、「さあ、見よう!」という空気が猟師みんなに見えたので、僕はそれに釘を刺すように「今日は、バーニャ入ってからだよ」とちょっといたずらっぽく笑って言いました。というのも、先日は体が冷えきったままでの確認作業だったので、ちょっと気持ちも盛り上がりにかけていたし、今日はなんといっても確認作業のクライマックスなのですから!カメラさえ通常に作動していてくれれば、トラが「おそらく、十中八九、間違いなく」写っているはず。万全を期して、みんなで上映会(?)をしたかったのです。

さあ、バーニャに入って夕食も食べて、いよいよ映像確認作業です。僕らの猟師小屋に猟師みんなが集まってきました。みんな興味津々です。なんせ、本物のトラに遭遇した猟師は今まで何人かいますが、映像でトラを確認したものはいないのです。ビキンのトラは果たしてどんなやつなのか?!

結果はいかに・・・?

おー、いました!写っていました!このビキン中・上流域において、おそらく歴史上世界で初めて、僕らは野生のトラの生息を映像で確認したのです! (つづく)

バーニャ(*1): ロシア風スチーム・サウナ。簡単な風呂炊き小屋の中に、ペチカ(まきストーブ)と鉄製の釜を作り、そこでお湯を沸かす。縦長のペチカまわりから煙突の下の部分に石を敷き詰め、お湯が沸くのと同時に石を熱する。熱くなって来たら、石に水をかける。すると蒸気が小屋を満たし、スチームサウナ状態に。そこで汗をかき、また外に出て、夏なら川があれば飛び込んだり、冬は雪の中にダイヴしたり。好きな人は、一時間ぐらい入って楽しむ。

脳炎ダニ(*2):

5-7月に活発にタイガで活動するダニ。ダニは数種類いるようだが、この脳炎ダニが一番危険といわれている。へたをすれば、死ぬ危険も。ロシアにおいては、ワクチン予防接種があるのだが、3回に分けて打たなければならず、外国人にとってはちょっとハードルが高い。日本では何故だか予防接種をしてくれない。この時期は、森に入ったあとはお互いの体全身チェックが必須。または、バーニャに入って蒸してしまう。ダニは熱さが苦手らしい。それでもダメな場合は、以下の方法で、ダニを抜く。
1. サラダ油などの食用油をダニの噛み付いているところに塗る。この時点で、ダニは窒息気味になるらしい。
2. その後、先の尖ったピンセットやヒモを巻き付けるかして、ダニの頭部を引きちぎらないようにダニを体ごと抜く。この時、ダニの口は皮膚にがっちり噛んでいる状態なので、それに気をつけながら、しっかりと頭部ごと抜いてやる。そうしないと、ダニが皮膚の中に残って面倒なことにあることも。ちなみに、ドイツではこれを森ダニと言い、抜く時にある方向に回すと良いと言うらしい(知人談)。

映画「タイガからのメッセージ」撮影裏話③2011年6月編

こんにちは、三上雄己です。制作中のドキュメンタリー映画「タイガからのメッセージ」、最後の撮影のためにタイガに帰ってきました。今回のメインの目的は、前回の撮影時に仕掛けた「トレイル・カム」の回収でした。「トレイル・カム」とは、もともとハンター達が自分の獲物の動向を事前に探るために開発した、赤外線センサー付きのカメラのことです。動物がセンサーの領域に入ると、カメラが自動的に作動し、映像や写真に収めてくれます。最近では、去年BBCがブータンで森林限界以上である高度4000m付近でのトラの撮影と生息確認に世界で初めて成功し、大変話題になりました。その機材を10台使って、僕らはタイガのビキン川中・上流域に生息するトラを、これまた恐らく世界で初めて映像にとらえることを試みたのです。

1ヶ月振りのロシア沿海地方は、6月も下旬に入ろうとしているにも関わらず雨の降る肌寒い天気が続いていました。去年の今頃初めてタイガを訪れた時は、一ヶ月も雨が降らない日々が続き、暑くて乾いていたのに、今年はうってかわって、涼しい日々が続く6月だということでした。クラスニヤール村の人々も首をかしげる不思議な天気でした。

ハバロフスクからクラスニヤールに向かう道中でも、村に着いても雨は降り続いていました。しかし、こちらも時間との戦いなので悠長なことは言っていられません。村に着いた次の日も天候は良くなりませんでしたが、予定通り船に乗ってタイガに向かいました。

トレイル・カムを仕掛けたのは、中流域の上の方のハバゴーという猟場基地に近いところで、村からおよそ160km上流に位置しています。先月はたまたま猟師たちがヘリコプターで飛ぶタイミングにうまく合ったので、便乗して川をさかのぼることが出来ましたが、今回は最初から船での移動となりました。途中カメラを3台回収したり、少し休憩しながら、結局10時間ほどかかってハバゴーに到着しました。その頃までには、体はすっかり冷えきり、夏で日が長いとはいえ陽はほとんど落ちていました。

今回の回収作業で一番驚いたのは、5月に仕掛けたカメラの場所の様子があまりにも変わっていたことでした。先月は、ほぼ平地で何も生えていなかった場所が、まるで熱帯のジャングルの様になっていたのです。

雨が降り注ぐ中、腰の高さ以上まで元気に茂ったシダなどの中を蚊やアブやブヨなどと戦いながら歩くのは、結構しんどいものです。深い緑に覆われた森は、先月カメラを仕掛けた同じ場所とは全く思えない程変容していました。しかも、例年になく降り続ける雨により、通年では水が干上がり道となるような場所が川になっていたり、水かさが異常に多くて渡れるはずのところが渡れなかったりして、僕ら撮影チームは初日だというのに、かなり体力を消耗しました。しかし、タイガを知り尽くしている、われらの信頼度ナンバーワン猟師のセルゲイ・カルーギンの水先案内により、なんとか初日に3台のカメラを回収しました。

一日の最後には、少しばかり陽が射し、「虹が出そうだな・・・」と思っていたところ、本当に虹が出てくれて、一同疲れてはいたものの、なんだか気持ちは晴れやかになりました。

ハバゴーにある猟師の基地に着くと、早速セルゲイや同行してきたの他の猟師たちにカメラに映ったものが早く見たいとせがまれました。彼らにとっても、自分たちの活動している森にトレイル・カムを仕掛けるのは初めてのことなので非常に強い興味を持ってこの時を待っていたようです。そこで、濡れて冷たくなった体のこともそっちのけで、トレイル・カムからメモリーカードを取り出し、ラップトップに接続しました。ワクワクする気持ちと何も映っていなかったらどうしようという気持ちとが入り交じった緊張の一瞬です。というのも、いくらこの森を知り尽くしているセルゲイと一緒に設置したといっても、やはり野生は野生。どこまでも読めないものなのです。トラの通りそうな「虎道=獣道」を狙ったカメラがどう反応していてくれるのか・・・?猟師小屋で、みんなの期待が僕のラップトップに集まっているのを感じながら、一つ一つ映像をみんなで確認していきました。

結果は・・・、残念ながら、トラは映っていませんでした。しかし、イノシシが一頭、ノロジカが数頭、アカシカが数頭。中には、一瞬でカメラの前を通り過ぎているものもありました。それでも、その一瞬や体の一部でそれらの動物を即座に認識し判断している猟師たちと、映っているものを確認するのはとても興味深いものでした。子供のころから何百回とタイガの動物と接して来ている彼らにはごく当たり前のことでも、僕らにとってはそれは驚くべくことだったのです。

トレイル・カメラを今回初めて使用した僕らにとっては、野生動物が何かしらでも写っていたことは「ほっ」と出来ることではありましたが、トラが写っていなかったことは個人的にはやはり非常に残念なことでした。今回の設置場所を選定してくれたセルゲイと目を合わせると、彼もやはりちょっと悔しそうな顔をして「明日が本番だね」と静かに小屋を出て行きました。(つづく)